● 診療について

眼の症状
患者さんの訴えがとても大事になりますので、検査や診察の前に症状を問診票に書いていただきます。
症状は、次の3つに分けて考えるとわかりやすいです。
1.見え方がいつもと違う場合

「視力が低下した」「見えない所がある」「かすむ」「ゆがむ」「糸くずが見える」など見え方に変化のある症状の場合は、光の通路

(光は、眼の中を 角膜 ( かくまく ) 水晶体 すいしょうたい ( 硝子体 しょうしたい ( 網膜 もうまく ( へと伝わり、網膜で電気信号にかわって→ 視神経 ししんけい ( から脳へ伝わります。)に何らかの変化が生じている可能性があります。光の通路を順番に調べる必要があるので検査や診察に時間がかかります。また、別の日に精密検査する場合があります。

2.見え方はいつもと変わりがない場合

「眼がかわく」「疲れる」「痛い」「かゆい」「メヤニがでる」など見え方に変化のない症状の場合は、光の通路に大きな変化が生じている可能性は低いと考えられます。
3.その他

「両眼でみるとダブって見える」「まぶたが下がってきた」など眼やその周りの組織を動かす筋や神経に何らかの変化が生じている可能性があります。また、病気の進行が非常に遅い場合、症状を自覚されにくいことがありますので、検診などによる1年に1回程度の眼科診察が大切になってくると考えられます。

検査と診察

症状によって検査の内容が異なりますので、 診察の順番が前後したり、待ち時間が長くなる場合があることをご理解いただけますようお願いします。
   光の通路を順番に調べる場合、散瞳検査(点眼薬で瞳孔をひろげ、水晶体、硝子体、網膜を診察すること)が必要になり検査や診察時間が長くなります。また、散瞳検査のあと数時間は、まぶしく感じたり、ピントが合いにくくなります。患者さん本人による自転車、バイク、自動車の運転は支障をきたす可能性がありますので、少し休んでから帰宅するか、公共の交通機関、タクシー、または家人に付き添われて来院されますようお願いいたします。

説明と治療

検査結果と治療方針を可能な限りわかりやすく説明します。お一人で説明を聞くことが不安な場合は、ご家族の方と一緒に来院されることをおすすめします。
   眼科全般の診察が可能ですが、疾患やその重症度によっては、専門医のいる病院や大学病院をご紹介させていただきます。

● 白内障治療

白内障とは?
水晶体 ( すいしょうたい ) という組織が白く濁ったために、光が十分に眼の奥まで届かなくなった結果、見えにくくなってくる病気です。
白内障の症状
  視力低下だけでなく、かすむ、まぶしい、片眼で物が二重三重に見えるなどの症状があります。
白内障の治療法
  白内障の進行をある程度遅くさせるために点眼薬がありますが、白く濁った水晶体を透明にすることはできません。白内障による症状を改善させるためには、手術によって濁った水晶体を取り除き、透明な人工の眼内レンズを挿入する方法が行われています。
手術の時期
  白内障の症状が患者さんの日常生活にどの程度影響を与えているかによって、患者さん自身が手術をうけるかどうかを決めることができます。視力低下の程度だけでなく、職業・年齢・健康状態・車の運転をするかどうか・趣味など様々な観点から判断するのがよいと思います。手術に関して悩まれている場合は、気軽にご相談いただければと思います。
 一方で、日常生活に影響がほとんどない場合でも、水晶体の影響で前房が浅くなり眼圧が上昇し、緑内障という別の病気が発症してくることがあります。その病態を改善させるために白内障手術が必要になる場合があります。眼科医から白内障があることを告げられた時は、定期的に眼科で検査を受けることをおすすめします。
当院での手術までの基本的な流れ
1. 患者さんから白内障手術の希望があることが前提になります。

・白内障の状態を診察し、手術適応かどうか判断します。

・手術を安全に受けていただくため、血液検査をします。内科的検査

(心電図・胸部レントゲン検査)をかかりつけ医などに依頼します。

2. 手術前検査

・挿入する眼内レンズの度数を算出するための検査(角膜の屈折度、眼球の大きさなど)を行います。

・血液検査、内科的検査の結果を説明します。

・インフォームドコンセント(手術に関して、リスクも含めた十分な説明を行います。患者さん自身が理解した上でその治療法に同意して頂くこと。)を得ます。 大変重要な説明をしますので、ご家族の同席をお願いしています。

・手術予定日を決めます。

・手術前後の注意点について説明します。

・手術前 に使う点眼薬を処方します。

3. 手術当日

・ 来院時間にきて、手術を受けていただきます。
4. 手術後の診察

・手術翌日、2-3日後、約1週間後に診察を受けて頂きます。 眼の状態によって、診察回数が増えることがあります。その後の診察は、眼の状態によって診察までの期間を長くします。手術後の経過を観察するとても大切な診察になりますので、必ず来院して頂きますようお願いします。

・他院眼科からご紹介いただいた患者さんは、手術後眼の状態が安定した時点で紹介元の眼科で診察を受けることが可能です。その際は、紹介状をお書きします。

● 網膜疾患の治療

網膜 ( もうまく ) とは

網膜は、眼の中を通過した光を受け取る「視細胞」が存在する組織です。網膜の中の黄斑という領域には、視力や色覚にとても大切な役割を果たしている神経細胞が密に存在しています。
網膜疾患の症状
  病気によって症状が多様です。
病気が黄斑に及んでいなければ、基本的には視力低下を自覚することは少ないですが、視野が欠けるとか、暗く見えるなどの症状を自覚します。 病気が黄斑に及んでいれば、視力低下、ゆがみ、暗点などの症状を自覚する可能性が高いです。ただし、黄斑を中心に発症する病気があり、その場合は、両眼で見ていると自覚症状に乏しい場合がありますので、片眼で見え方に変化がないかをときどきチェックすることが大事です。
網膜疾患の治療

病気によって、

1. 薬(内服薬、ステロイド薬の注射、抗血管新生薬の注射)で治療する

2. レーザーで治療する
3. 外科的に治療する
4. 1〜3の治療を組み合わせて治療する
場合があります。専門性の高い網膜疾患の治療を多数経験してきましたので、患者さんの病態に適した治療を提案していきたいと考えています。しかし、重症な網膜疾患や入院による治療が必要な場合は、総合病院や大学病院にご紹介させて頂きます。